傷病手当金を退職後も受給したい。条件は?(資格喪失後の継続給付)
例えば、精神疾患のようにすぐには治癒しない病気に罹った場合、退職後も傷病手当金が受け取れるかどうかを知ることはとても大事なことです。
本記事では退職後も受給するための条件/要件を整理していきます。
ご注意:協会けんぽ(全国健康保険協会)加入の方向けの記事になります。
健康保険組合や共済組合にご加入の方は別途公式HPや組合担当者にご確認ください。
まずは協会けんぽHPの記載内容から
協会けんぽの公式HPのQ&AのQ6によると以下のように書かれています。
A6:次の2点を満たしている場合に退職後も引き続き残りの期間について傷病手当金を受けることができます。
(資格喪失後の継続給付)
被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
(なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません。)
簡潔に書かれてはいますが、まだ少し分かりにくいので分解して解説していきます。
条件は大きく3つ!
条件を分解して、以下に細かく解説していきます。
退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
例えば2024年11月30日が退職日なら、少なくとも2023年12月1日以前から健康保険に加入している必要があります。
いつから加入しているかを正確に知るには、保険証(または資格確認書)の「資格取得年月日」欄を見ると良いでしょう。(マイナ保険証の利用登録済みの方はマイナポータルからも確認可能)
また、前職でも協会けんぽや健康保険組合に加入していて、前職と現職の加入期間に空白が1日もなく連続している場合は、そちらも通算可能です。
退職までに待機を完成させ、退職日に出勤していない事
待機の完成に関しては以下画像をご覧ください。

最小限の構成として、3日連続の休みにより待期期間を完成させ、4日目の退職日に出勤しないことで退職翌日以降も継続して受給することが可能です。
(最小にする必要は何もなく、労務不能になるほどの体調不良であるならばなるべく早く休むのが望ましいです)
なお、待期期間と退職日は、いずれも有給(有休)や元々休みの日(土日祝・公休日)であっても構いません。
特に注意すべきは、退職日は必ず休む必要がある点です。引継ぎはもちろん簡単な挨拶だけでも出社しない方が無難です。
退職後は、退職時と同じ傷病で 引き続き労務不能 であること。
当然のことですが、退職前も退職後も労務不能と医師に認めてもらう必要があります。
傷病手当金申請書中の「労務不能と認めた期間」に記載がない期間は申請ができません。
加えて、退職日以後は以下2点に追加で注意する必要があります。
・「労務不能と認めた期間」(申請と申請の間)に1日も空白がないこと
・退職時と同じ傷病(もしくは関連する傷病)で労務不能であること
医師の指示に従い定期的に受診しましょう。
また、引っ越し等で病院を変更する場合は上記要件に細心の注意を払ってください。
まとめ
退職後も傷病手当金を受け取るための条件に付いての記事でしたが、いかがだったでしょうか。
1つ間違えば退職後は一切受け取れないような事態になりかねないので、よくよく注意する必要があります。
ご自身でされる場合は、本記事だけでなく協会けんぽ公式HPや他解説記事も参照にしながら自己認識の再確認をしましょう。一つの思い違いが大きなミスになり得ます。複数の情報源から情報を入手し、万が一の過ちを避けるようにする必要があります。
そういった余裕のない場合は、弊所へのご依頼もおすすめです。
スケジュールを確認しつつ、退職後の受給に向けいつ頃、何をしたらいいかのご助言もさせていただきます。
お悩みの方や万全を期すことをお望みの方はぜひ一度、ご相談ください。
執筆:クレイド法務事務所 代表
社会保険労務士 前田 健