【傷病手当金】どんなケガや病気でも支給対象になる?
結論:医師が労務不能と認めれば、病名や傷病の程度に関わらず対象
傷病手当金の支給要件として、「従事している仕事に就けない状態」であることが求められます。それを証明するために必要なのが病院側に書いてもらう書類(申請書/療養担当者記入用)です。
医師の書いた上記書類があれば、ケガ、精神疾患、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など内容に関わらず支給対象になります。
軽い風邪ならば通常は年休/有給で対応する場合がほとんどでしょうが、インフルやコロナで4日間以上の休みになるならば、傷病手当金を組み合わせると有利なケースはよくありますので頭の片隅に入れておきましょう。
ただし、過去に受給歴のある人は注意が必要
特に、精神疾患で過去に受給していた方は要注意です。
受給にあたって、同じ原因の傷病(同一傷病)については通算して1年6ヵ月間までという制限があります。例えばインフルのように一度治癒したことが明らかであれば期間はリセットされますし、別の部位のケガなど同じ原因でないことが明らかな場合は新たに期間が始まるので問題になりません。
しかし、精神疾患の場合、治ったかどうかを客観的に証明できない場合がほとんどで、受給期間が長期になることが多いため、同一傷病とみなされて困るケースがよくあります。また、傷病名が違っても、関連のある傷病は同じ疾病とみなされてしまうこともご注意ください(例えば、適応障害とうつ病など)。
この場合、協会けんぽ等の保険者に「先発傷病は、相当期間に渡って職場復帰等をしていた場合に認められる社会的治癒に該当するため期間はリセット。後発傷病は別個の傷病である」ということを認めてもらう必要があります。
そして、この社会的治癒の判断には、具体的基準がないため保険者側の判断によるところが大きくなります。
過去の裁判例や審査請求結果からしても、認められるケース、認められないケース様々あるので、個別に状況を整理して、受給に向けどう動くか判断することになります。
お悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。
執筆:クレイド法務事務所 代表
前田 健